アルジェリア:暴力の犠牲者、女性たちへの支援
カテゴリ : NGOプレス
投稿者: HELFTER 掲載日: 2007-5-25
暴力の多くが泣き寝入りに
女性への暴力の実態を正確に把握することは非常に困難です。それでもアルジェリアの国立公衆衛生研究所は、報告される件数の50%以上が家庭内暴力で(夫婦間の性的暴力は統計に含まれない)、3分の2以上が肉体的暴力であると報告しています。精神的暴力の場合は、その事実を明らかにするのは非常に困難です。その一方で女性の3分の1が心的障害(不安感、抑うつ症)を訴えています。性的暴力に至っては被害の殆どが公にされません。この割合は10%で、報告される被害者の5人に4人は未婚の女性たちです。このように暴力の犠牲となった女性たちは、その被害を訴える上で大きな障害に直面しています。たとえ訴えることが出来ても心理社会的側面からサポートを受けられる被害者はわずか10%に過ぎません。

電話による無料相談の強化
現在アルジェリアには、匿名無料の電話相談回線は1本しか存在しません。他の2本の回線は全て有料です。3本の回線とも週に5日稼動していますが、しばしば飽和状態になってつながりにくくなります。現地のボランティア又は専属の相談員が応対していますが、いずれも相談員としての教育や指導を受けたことのない人々です。世界の医療団の支援を受け、現地の支援組織によって最近この匿名無料回線の容量が増強されました。同時に現場の相談員チームに対して、社会的、法的解決法、対話の仕方やアドバイスの仕方を中心に教育プログラムを作成し、実行しています。

より積極的な情報提供
以上のほかにMDMは、この問題を取り扱う全ての関係者(医療職員、警察、行政等)に理解を求め、意識の変革を促す手助けをしたいと考えています。事実多くの関係者はこの問題を個人的で私的な問題と捉え介入に消極的で、どう処理すべきか十分な知識を持っていないのが現状です。この種の暴力被害が申し立てられた場合、それをいかに受け止め適切なアドバイスやケアを与えるか、どのようなシステムを整える必要があるかを早急に対応する必要があります。このプログラムには、専門家のための活動に必要な知識や情報を簡単に手に入れることの出来る情報センターを設置する計画が含まれています。潜在する暴力被害者、更には地域住民全体がメディア、ポスター、パンフレット等を通して暴力を防止する対策やその情報に触れることが出来ると期待されています。

暴力被害者の弁護団の組織化
このプログラムは、数年前アルジェリア政府が着手した女性への暴力と闘う国家プロジェクトに一体化する形で進められます。従って最終的には、行政側が犠牲者の問題解決により深く介入し、法的な解決手段を更に充実させることが狙いです。実際、法的な解決法はいまだに欠陥が多く、多くの犠牲者が法律に訴えることを躊躇し足踏みを余儀なくされています。未婚又は離婚した女性の場合は、たとえ子供連れであっても、公共住宅に入れません。