【ヨハネスブルク白戸圭一】スーダン政府は16日、同国西部のダルフール紛争に対処するため、攻撃ヘリコプターを含む3000人規模の国連平和維持部隊の受け入れを表明した。同地方には既に少数の文民や警察官が派遣されているが、本格的な国連部隊の受け入れは初めて。治安回復へ向け一歩前進した格好だが、外交関係者の間では、派遣時期や展開地域などを巡ってスーダン側が抵抗し派遣を「骨抜き」にすることへの警戒感が消えていない。
スーダンのラム外相が16日、首都ハルツームでの記者会見で受け入れを表明した。ニューヨークの国連本部に駐在するスーダン大使が国連の潘基文事務総長に受け入れを伝える書簡を送った。潘事務総長は同日、国連本部で記者団に「前向きなサインだ」と述べ、早急に派遣計画の細部を詰める意向を示した。
ダルフールにはアフリカ連合(AU)の部隊約7000人が展開しているが、装備が不十分なため民間人の犠牲が後を絶たない。国連安保理は昨年8月、2万人を3段階に分けて派遣することを決議し、第1段階の派遣は実現したが、スーダン側が第2段階の本格的な部隊を拒否。このため2月にスーダンを訪問した中国の胡錦濤国家主席が国連との協調を促し、米国やAUも説得を続けてきた。受け入れ表明は国際社会の圧力に配慮した結果とみられる。
だが、スーダン訪問中のネグロポンテ米国務副長官は16日、スーダン政府が人道支援機関に「入念で組織的な脅迫」を加えていると述べ、不信感をあらわにした。AUに近い外交筋は毎日新聞に「(スーダン政府は)国際社会と協調する姿勢を見せながら、派遣に際して細かい条件を付けることも考えられる」と指摘した。