ワーキング・プアという名の搾取をなくせ!
カテゴリ : NGOプレス
【ワーキング・プアという名の搾取をなくせ!】
ワーキング・プアという新階層が出現している。働いても働いても、所得が増えずに、生活が向上しない人達のことだ。既に確固たる地位を確立している、フリーターや派遣社員に加えて、最近では、スポット派遣やワンコールワーカーと呼ばれるような形態の非正社員として働く人々がこのワーキング・プアの中心を成す。最近では、正社員の中にも同様の状況になってしまっている人も増えているという。中には、定住できずに、漫画喫茶や友人の家で寝泊りしている人達もいるらしい。こうなると、半ホームレスだ。今、日本社会では、確実に、貧困層が出現している。その最たる例が、ワーキング・プアであり、その数は、550万人以上と言われる。
いずれの場合にも共通していることは、企業が労働者を都合よく利用していることだ。長い不況から脱し、景気が回復していると言われている昨今ではあるが、その恩恵を受けているのは、一部の企業や人に過ぎない。労働者派遣法に違反する、二重派遣や偽装請負、残業手当の不払いなども度々発覚している。利潤の追求を最優先する、資本主義の名の下に、人を人とも思わないような、労働力=人間の使い捨てが行われている。
2006年の最低時間給は、青森県、秋田県、岩手県、沖縄県が最も低い610円、最も高い東京でさえ、719円となっている。そして、給料はほぼ上がらない。これでは、ひたすら必死に働いても、ぎりぎり暮らしていくのがやっとだ。しかも、交通費や登録日、食事代、寮費など様々な名目で給料をピンはねし、実際の給料が法定時給より安くなっているケースも多々あるという。これは、国家と企業による搾取ではないのか。このような過酷な状況に置かれては、将来への希望も失ってしまう。技術も身に付けられず、いつまでもこの状況から抜け出せなくなってしまう。
まずは、法定最低賃金を上げること。いくらが適切なのかは素人には分からないが、企業の利潤追求ばかりを優先しないこと。また、様々な名目によるピンはねができないような法整備も求められる。当然ながら、給与以外の待遇改善も必要だ。ワーキング・プアの問題を放置することは、いずれ国家として自らの首を絞めることになる。企業にとっても同じことだ。もっと思いやりのある社会にしてもらいたい。
ついでに、現在の年金制度では、25年以上払わなければ、無年金となる。しかしながら、現在のような状況では継続的に支払えない人も多いはずだ。そういった人々が少しずつでも払い、そして、払い損にならぬよう、支払った額に応じて、少しでも年金を受給できる制度の導入も必要ではないか。最も、その前に年金制度を破綻させないことが大前提ではあるが。
【読売新聞より追加】
先日の読売新聞朝刊に、最低賃金に関する記事がありました。今国会で、最低賃金法改正案が提出されたみたいです。政治に疎い僕の提言は、今更という感じですが、訴えたいことを訴えることはできたかなと思います。
◆記事より抜粋して、各国の最低賃金を記します(タイを除き、時給)。
◎アメリカ・・・・・・・・・・・・・・・・5.15ドル(約600円)
◎イギリス・・・・・・・・・・・・・・・5.52ポンド(約1280円)
◎フランス・・・・・・・・・・・・・・・8.27ユーロ(約1300円)
◎中国(北京市)・・・・・・・・・・7.9元(約120円)
◎タイ(バンコク首都圏)・・・・191バーツ(約690円/日)
イギリス、フランスって案外高いんだなぁ。日本でも、これくらいになればワーキング・プアも随分楽になるんじゃないか?